「序列1位の華麗なる日常」反省会 もといバエタクが描きたかったという話

放サモ バエル×アスタロト本「序列1位の華麗なる日常」の反省会記事です。
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未熟な部分が多々あるので言い訳をしたいと言うのと、描いてる間の思考の変化とか描き終えての反省点をメモしておきたいと言うのと、150ページ描いたので流石に喋りたいという感じです。
めっちゃ長いです。

以前からバエルの検事らしい描写が見たいな~と思っていたのですが、検事って逆転裁判しか知らね~と思って、検事と言えばHEROか~で全話一気見した結果
お前が木村拓哉になるんだよ!!!ってなって描き始めた本です。
Can you keep a secret!!!!!

というわけでバエタクを描きたかった本ですがバエルは木村拓哉ではないという結論に至りました。
当たり前です。

「序列1位の華麗なる日常」
当初の構想ではお仕事パート(日常)とバエロトのデート(非日常)を交互に描く予定で、それを踏まえた上でのタイトルでした。
それぞれ独立した話で考えていたのですが、進めていくうちに後半の話が繋がってきたのでもういっそ全部繋げるかと思い、後付けで色々設定を足して描き直して描き直して描き直してめっちゃめちゃに苦しみました。
私は始まりと終わりがなんとなく決まったら見きり発車で描き始めてしまうタイプなのでプロットやネームって大事だな…と思いました。
ですが構成自体は気に入っています。それを上手く表現できているかは別の話です。

第壱話 毒を以て毒を制す
このタイトルは本全体のイメージでもあるんですがはたして描けていたのか…?
導入として描きたかったのはロトくんがバエの事務官になる経緯と、仕事はちゃんとやってるけどちゃんと性格が悪いバエル、というとこです。
あとは最後にロトくんの蛇で事件を解決させたいというのは先に決めていたので、それまで使わせないための言い訳を入れました。
主とロトくんのシーンは事務官の説明シーンを入れたかったのもありますが、元々主とロトくんで交換日記をやっているところが描きたくて(放浪息子リスペクト)、話と話の間でロトくんが交換日記に書いた内容を載せる…みたいなことを考えていたんですけどその辺は全部消えました。

全体の流れとして転光生の派遣会社を主軸に置くと決めた経緯はちょっともう忘れちゃったんですけど、そもそも「学生でなく、働いている転光生」を描こうと思ったのは「素行不良の転光生が都民の税金で何年も学生やってたら嫌」という非常に排他的な理由からです。
税金なのかな?どう思います?抱えてる転光生多いほど国から助成金出そうなイメージもありますが。

被疑者が罪を犯してまで手に入れようとしたワインを「持ってま~す✌️」ってするバエル、個人的に好きなとこです。
ワインのこと何も知らないので名前は「検察側の証人」からつけました。
ガヴァナーは転光で財産失ってるけどバエルは昔も今も金持ちみたいな描写入れながらえ、わかんない…ってなりましたけどその辺どうなってるんでしょうね。何も考えてないです。

元担当事務官たちは他の検事のところで元気にやってるよ!ってのを補足で描こうとしたんですけどいらんかな…って気がして描きませんでした。
けど今思うといる気がしてきた。みんな元気なので大丈夫です。今更。

第弐話 阿漕が浦に引く網
タイトルは人魚にわいせつ行為を繰り返し行っていた犯人からの連想で付けましたが何か色々な意味に取れそうなのでお好きに解釈して頂きたい。バエロトと絡めて考えてくださった方がいて嬉しかったです!!

検察官やってるバエルが被害者から感謝されることもあるのかなという想像からの話です。
司法の場に転光生はあまり介入できておらず、転光生が犯罪被害にあった場合は基本的には現行の法律をもとに判断されており、見た目の人外度が高いほど被害を軽視されがち、という脳内設定があったので裁判長や弁護士等のモブを全員現地民にしてます。

裁判シーンを描くにあたってうだうだ考えていたやつはここに書いてあります。
裁判は元々半ページくらいのシーンでした。

「被害者の体に触れる」(元々は「陰部に触れる」にしてました)という台詞の次のページで下半身に何も身に付けていない人魚が出てくると、私の描き方次第ではツッコミポイントに見えてしまうかもしれない…と思ってそれっぽい言葉を並べてそれっぽく描こうとして弁護士とのページを2ページ増やしました。
二次創作かつ犯罪をテーマの1つとしている以上犯罪を軽んじるような描写は避けたいという思いがあって、ただバエルはめちゃめちゃ犯罪に近い何かをしてそうなキャラなのでその辺りのバランスに非常に苦労しました。
バエの被告人への追い詰めは正直微妙なところで、キャラ解釈としては自分はアリだと思ったんですけど、マーマンくんの立場に立ったときにちょっと…って思えて悩んだのですが、被告の行為に性的な目的があったかどうかが争点になっているのでまぁ…ということでそのまま載せました。その辺の引っ掛かりとかが無かったら嬉しいのですが…

あとそもそも何でこの罪状にしたのかと言うと、私はバエルの3の出し方がこれだといいなという妄想がありまして

それを描くために懲役3年って言わせようと思って罪状を考えていたんですけど実際に描く頃にはそんなこと忘れていたのでマジで何がしたかったんでしょうか?
あとは伏線として社長夫人を出しておきたかったので最終的にこうなりました。
勝手なイメージですがこれで懲役3年はだいぶ攻めてるのではと思ってます。
(感情的には全然足らんと思うけど)
実際の判決は多分これより減ると思うのですがよく知らないのでよく知りません。詳しい人教えて下さい…。

冒頭のロトくんの過去回想は、バエルの「誰に鍛えられたと思ってる」に説得力が欲しかったので後から入れたんですが、ここでテディベアを取り上げられる描写を入れたことによって後のくまの人形に繋がりました。私の脳内の引き出しが少なすぎた故に起きた奇跡です。
バエルはロトくんが自分の気持ちを言い切るまで待ってくれそうだなというイメージがあってそれを描きたかったのでした。

第参話 パンピーワールドアドベンチャー
神宿学園は最早パンピーワールドでは無いと思うけど「貴族、庶民の世界へ…」みたいなイメージです。

突然バアルテ入れたい!!!になったので後付けで入れました。
「アスタルテと内緒のお出かけだ!」は自分で書いておきながらこの台詞かわいいなって思ってます。
ここは「人形を使ってその場にいると思わせる」っていう後半の展開とリンクさせたかったところなのですがただの麻袋で描いてしまったのでもっと人形ぽく描けば良かったです。
アスタルテだから云々とかじゃなくて子供だけで勝手に出掛けるのは普通にだめだろという一般倫理観が出てしまったのでちょっと悩みました…多分バアルだけで行っていたら大人たちは何も言わなかったんじゃないかなというイメージです。

3話は話としては文化祭デートが描きたかっただけのやつですが、ここで出てきたくまの人形を最後に使うっていうのは割と初期から考えていました。
あ、くまの人形!(今気付いた)
今後神宿学園手芸部の様子が公式で出てきたらその子が作ったことにしようと思ってます。

このシーンなんか熟年夫婦っぽくて好き
パティスリーイイモリを庶民から貴族まで来る店にしたいという想い。
ここの主とリョウタと話してるロトくんをじっと見るバエ、のところは、四話の急に肩掴んでくるバエのシーンと合わせて
「ロトくんが他の人と話してるの見た後無意識に距離感近くなるバエ」が描きたかったんですが
改めて読み返した時に
「嬉しそうなロトくんを見て何か感じるバエ」
に見えるなと思ったのでどっちでも良いです。
こっちだと六話のデートの話に繋がる気がする。
(こんな感じで自分の描きたかった意図などほぼあって無いようなものなのでマジで全コマお好きに解釈してください…そしてその解釈を教えてください…自分の脳みそから出せないバエロトが欲しい)

第肆話 蛇の林檎
諸々の連想の連想で禁断の果実を唆した蛇のイメージですがそんなに意味は無いです。

ロースクールが本当に分からなくて………
授業がこんな感じでは無いだろうことは分かるのですが、転光生の就職についてとトベミの紹介を入れたかっただけなので諦めました。
「反社会的勢力に流れていく転光生は~」とか「転光生の特徴を隠して現地民として~」とか言うのを社長夫人の伏線として入れたつもりだったんですが、もっと何かはっきり書けば良かったかなーと思っています。
「転光生による召喚主殺害事件は過去に多く発生しており、その後未解決のものが多い」みたいな台詞を後から思えばこの辺で出しておけば良かったです。

アスタロトくんはモテるという勝手な脳内設定があったので描きました。モテてるけど自覚がありません。ヒロインです。
あと私はアスタロトくんにフラれたいしバエルにマウントを取られたいのであのモブに私の魂を込めました。

本全体を通して「友達」っていうのをテーマにしていて、これは元々バエロトの関係性があやふやな中、ロトくんの「友達…とは向こうは思ってないと思う」という発言とバエ→ロトの好意矢印を根拠に、ふたりはッッ友達なんだッッッ!!っていう主張をしたいという目的があったからです。
が、原稿書いてる間に「悪魔式ティータイム」のARが来て、テキスト内にハッキリ「二人の間に友情はあった」と書かれていたので、えっそんなに仲良かったんです!?ってびっくりしちゃってちょっと作業が止まりました。
最終的にカップリング描写も入れたいしふたりが友達だということも言いたいし、私自身CPものを描く上で+と×の境目がほぼ無い人間なのでその辺あやふやのふやふやになりましたね…。

恋愛物に置いて「友達」っていうワードは=失恋なことがほとんどだと思うんですけど、バアルテもバエロトも世界に決められたそれぞれの役割はあれど、お互いを友達だと思っている、ということを自分の中で重視しているので、ハッキリ「友達」と言葉にするシーンを描きたかったのでした。
この辺はまた後ほど語ります。

第伍話 愛歌戦士メロディピンク
タイトルめちゃめちゃ悩んで最終的に捏造特撮番組をそのままつけた。
子供に振り回されてるバエが描きたかったんです。
そして嫌々付き合わされてたロトくんが自分の意志で仕事に向き合うという心境の変化も描きたかった。
何かキムタクドラマって木村拓哉と出会ったヒロインが成長するのが醍醐味じゃないですか。
それです。
多分この話が一番HEROに影響受けてます。

元々獣人転光生と現地民のハーフの子をテーマとして描こうとしてて、うさみみ女の子のミミちゃんという仮名を付けていたので実は未だにランちゃんがしっくり来ていません。
ランちゃんは普通にランタンから取りました。

以下唐突なママの描写の言い訳をします。
「愛歌戦士メロディピンク」は、主人公のメロディピンクが生き別れの母親を探すために宇宙一のアイドルを目指しながら様々な星を巡っていくみたいなストーリーなんですが、ランちゃんのお母さんはランちゃんが2歳の頃に交通事故で亡くなっていて、そういうところも含めてメロディピンクにシンパシーを感じている、というのが事前に考えていた設定です。
ただその辺の描写をしっかり描くと長くなりそうだしバエルはそういうところに同情心も無いだろうし、設定としては残しつつも描写は省いていました。
が、犯罪に巻き込まれた子供が一人でいる状況に対して母親は…?っていうのが気になってしまうのではないか、と言うか、私の中の脳内クソリプマンが母親は何してるんですか?ってずっと言ってくるので何とか描写ができないものかと思いまして…後から思えば脳内補完してもらうで良かった気もするんですけど…
そこでおばあちゃんを描くことで母親がいないor会えない状況なのかなという点を感じてもらえないかなと思っておばあちゃんを登場させたのですが、私の画力の問題でこの人がお母さんに見えてしまうかもしれない…と思い…
ここでランちゃんをケモミミにして父親とおばあちゃんを現地民として描いてたらまだ良かった気がする。
いっそもう母親がすでに死んでいるという描写を入れるか…と思って入れたのがあのコマなんですが、唐突でしたよね…
お母さんが「まま」なことでランちゃんが幼い頃に亡くなっているということを表したかったのと、あと転光生と現地民のハーフっていう設定を復活させてお母さんをエデンの人にしたら何かバエが間接的にエデンに関わってるっていうのちょっと良くね~?って思ってGOしちゃいました。
エデンの人に線香を上げる違和感もあったけど現地民の家族になったのでということでまぁいいかになってます。
というそんな感じでした。言い訳長。

ランちゃん的にはお父さんが死んじゃうのかどうかが問題なわけなので、検察官はそこはどうにもできないから着地点にだいぶ迷いましたが、最終的にランちゃんの心のケアに焦点を当てようということになりました。
バエルが苦手な分野をアスタロトくんが補う…というふたりの仕事の上での距離感を縮めたかった回です。
この話は特に悩みながら描いたので、感想でここの話に何度か言及頂けて嬉しかったです。

第陸話 Like a HERO
サンダバさんに「あるよ」を言わせたかっただけの回。
まじで本当にそれだけなのでサンダバさんとサンダバさんのファンには大変申し訳ないです。
このHEROパロの部分と、サンダバさんのキャラ設定として裏でヒーローやってるという部分と、バエルの行動がある種救世主的立ち回りというのを含めてのLike a HEROです。

猫のケーキを「犬」って言うバエルがずっと脳内にあったので出せて良かったです。
猫でも犬でもどっちでもいいぐらいそういうのに興味ないのに可愛い料理が出てくるお店チェックしていたバエ、かなりかわいい。と今思いました。

やたらロトくんがうさぎに固執してるのは私が何も考えずに描いたからですがばえるちゃんてうさぎに似てない?耳長くて目赤いだけだけど…

★20日の夜
今読み返してて思ったんですけどロトくんの仮病も本人無自覚な体調不良もちゃんと見抜くバエルめちゃめちゃ可愛い
引き続きサンダバさん申し訳ありませんの小話。
というわけでロトくんの「ぼくの知らない人と行ってたりするのかな」の正解は、先週バティムちゃんに連れられて知ったお店をさも常連のようにドヤ紹介した、でした。

第漆話 四百四病の外
バエ←ロトの描写が多かったので、バエ→ロトを描こうとした回です。でも後から読み返したらこれまでの話も結構バエ→ロトでした。

バエをキムタクにしたいあまりバエの弱さみたいなのの描写を入れて無さすぎると思ったので急遽冒頭の夢のシーンを入れました。
「序列1位に相応しい力を持っていない」というの、故郷でどう思われているのか謎だったので自分なりの妄想です。
何かここの耳の塞ぎ方が子供の頃から変わらないっていうの、自分の心を守るのに必死だった幼少序列1位ちゃんという点も含めて私的キュンポイントなんですけどどうですか。
バエルの身支度シーンは個人的に好きなページです。バエは全裸で寝てると思っています。

この辺から最後の事件を絡めなければならなくてもう台詞が…見せ方が…一生分からん…
社長の名字はリカちゃん人形からです。
下の名前考えてないけどピエールでは無いです。
ホルスくんのトーン貼ってるとき一番心折れそうでした。一生描ける気がしない。

バエがくまの人形を取っておいてた理由は特に自分では考えてなくて、それこそなんとなく、という体で描いてたんですけど
えっもしかしてくまの人形を取り上げられて泣いてた幼い頃のロトくんを知ってるから…ってコト…!?ってセルフちいかわしちゃったのでそういうことにします。
過去回想を一瞬挟めば良かったね。そう思ったのがもう原稿がだいぶ進んだところだったので無理だったんですが…
と反省していたところなんと本を読んでくれた友人がこの辺りの小説を書いてくれたのでまじで読んでください!!こちら!!

第捌話 五三の桐
最後の話を検事バッジの意味である「秋霜烈日」にすることだけ決めていたので、事務官バッジ…で調べて出てきたやつをタイトルにしました。
バエロトがバッジ付けてる描写入れようかと思ってたんですがそういうの描いていいものなのか分からなかったので描きませんでした。

今思ったんだけど転光生=神器持ってるの解釈でいいんだっけ?「神器は?」じゃなくて「権能は?」の方が自然なのかな…
元々どのモブにも名前を付ける気は無かったんですが、「出頭した男」「傷害罪の男」とか書いてて誰??って混乱してきたので、名前付けるか~となってまず始めに付けたのがシロカタでした。
シロカタだけ人形の名前そのままじゃなくて形代のアナグラムなんですが、身代わり出頭という点とも絡めて形代から取ったのでそのままだとちょっとな…と思ったからです。
カカシは名前を付けたことで逆に誰?ってなってしまった気がする。社長夫人のナナは名古屋駅のナナちゃん人形から。あとは出す機会無かったですが弁護士の名前は「ポポ=チャン」です。

ちょうどSMAPのがんばりましょうを聞いてたコマ(努力と根性~)
社長は多分いい人だったんだろうなということと、ナナはちゃんと社長を愛してたんだろうなということが伝わってたら嬉しいです。

今まで散々恋愛感情があるような描写をしてきて、ロトくんに「友達だから」と言わせた後に告白台詞を入れたの、自分でもどうなんだと思っていますが、「きみのそばにいてもいいですか」があまりにはまりすぎてしまったので…
ロトくんにだけ言わせるのは嫌だったのでバエも告白台詞から引用しようと思ったんですけど難易度高かったですね…。
結局私はバエロトの関係を恋人にさせたいのか友達にさせたいのかと言うとどっちもにさせたかったです。
当初のイメージとして「作中では付き合わないけどこの後付き合ってたらいいな」という思いはありましたが、描き終えた今はふたりがどういう関係に落ち着いてても何でもいい!と思ってます。
(それはそれとしてバエに恋愛感情を向けているロトくんが「好きって言ったら友達じゃなくなっちゃうのかな」って悩んでるのめっちゃ可愛いから見たい)

第玖話 秋霜烈日
8、9話の事件解決までの流れはもっと何かスマートに描きたかったんですけど…
台詞の流れに引っ掛かるのと ん?ってなるとこがちょいちょいあるの、どう直したらいいのかも分からんのでこれにて終了です。

手の中に重要な証拠を持ってるように思わせるやつは古畑のパクリなんですけど(どの話か分かりますか?木村拓哉が犯人の回です)
9話のラストを描くためにここでくまの人形をどうしても使いたかったのですが難しすぎて最後の最後まで描き直してました。自分で読み返しすぎてて正直もう分かりません…

ここの台詞を第二刷で変えました。本当は入稿前に変えようと思ってたのに変え忘れてた。
完成までに5回ぐらい変えたんですけどあまり納得いってないので(これもそんなに納得いってない)シンプル反省点です。
告発を!のシーンはずっと描きたかったところで、ここを描くために100ページ以上描いていたと言っても過言ではないので描けて良かった~と思います。

社長夫人は奥村愛子さんの「仮面白書」をイメージとして描きました。歌詞はこちら
逆転裁判の焦って本性出る犯人みたいなのがやりたくて、素は方言キャラにしようかなと思ってました。
生まれも育ちも東京!って言ってたのに方言が出ておや…?みたいな展開を考えてたんですが、その辺の公式設定が何か決まってるのかどうなのか分からず上手く描けそうになかったので没になりました。
出さなかったですが神器はゼンマイです。

1話のガヴァナーは後付けで社長夫人に仕事を持ち掛けられたことにしました。
ちなみに社長夫人はターゲットと指示役の人の橋渡しをしているだけという設定です(なので5話でパイレーツが夫人に電話をかけて怒られています)。

ガヴァナーの自白は、最初はバエがちょっとルールスレスレなやり方で無理矢理聞き出した、という展開にしていたのですが変えました。
というのも原稿中に弁護士さんにお話を伺う機会がありまして、その中で「弁護士も検事も罪を犯した人に対して更正を願っている(ので再犯を繰り返す人には感情がなくなる)」というような話が印象に残ってて、そういえば「更正」ってこの本に無いな…と思ったのがきっかけです。
故郷にいた頃から縁のあった人たちに服役中に励まされたり怒られたりして意識が変わってきて、そのタイミングでバエたちが面会に来て自白したという流れです。
基本的に私は友達っていいよねみたいな話が好き。

夫人の動機はあんまりにも同情できる理由だと話がブレるし、かといって身勝手すぎる犯行だと社長が哀れだし(まぁ結局描いた動機も身勝手ではある)
そもそも私が描きたいのはバエロトであって殺人事件ではないという気持ちもあったのでこの辺りはさらっと描きたいと思っていました。
最初は召喚主に監禁されて虐待を受けていた描写を入れてたんですけど、ちょっと酷すぎてその後のバエロトイチャイチャに響きそうだな…と思って、匂わせ程度に何か大変だったんだねの描写にしました。言うて描いた2コマも酷いので召喚主は殺されてもしゃあないだろという気持ちです。
ナナと召喚主の過去はふんわり程度にしか考えてないですが、ナナが召喚主の格好を真似ているのは元々監禁設定があったので、現地民=召喚主しか知らないからという理由からだったのですが有耶無耶になりました。かつての召喚主の姿を真似て悪人として生きることで復讐を果たそうとしているのかもしれません。ちなみに髪だけは元々の癖毛が直らなかったという設定です。
元々ナナは魔夜叉ちゃんの設定で描いていたのですが、あまりに人生を背負わせすぎだと思ったので急遽変えました。なのでパクリデザインみたいになってます。申し訳ないです。
ナナも社長も生きててハッピーなループがきっとどこかにあるはず…と思っています。

一番最後の「ぼくもなんとなく持ち歩いていたからです」は思い付いた時にうわ~描きたい~ってなったとこなんですがどうですかね…本当は7話のラストのコマをバエが鞄にくまちゃんを放り投げる図にしようと思ってたんですが、序列1位の…鞄……??ってなってやめました
エピローグ含めて最終的にバエロトの関係性どう見えました?ってところはめちゃめちゃ聞きたいです。

エピローグ
無関係な転光生たちが路頭に迷ってしまうと思ったのでギュウマオウさんに丸投げしました。
暴力団絡んでて社長殺されて逮捕者出てってもう会社として無理でしょと思ったんですけどギュウマオウさんならきっと何とかしてくれる。何とかしてください。
カフェの名前のComplicitéは友達をフランス語で調べて(フランス語にすればお洒落だと思ってるよね)、出てきた単語に共犯者の意味もあったのでぴったりじゃん!と思ってこれにしました。
この話はカナーン前のループ、ということはずっと決めていたので150ページ分のバエロトはすべて無かったことになるんですけど、自分で描いておきながらすごい興奮してます。

ラストのページは並木道描こうとしてあからさますぎると思ったのでやめました。
笑いあうふたりが見たかったんです…これを描くために何かちょっと穏やかに笑うバエを描くのを自分に禁じてたのでこれにて解禁します。やった~

最初に言った通りこの本はHEROみたいなやつを描きたい、という気持ちから始まっていて、HEROの主人公である久利生検事は正義感が強くて、作中で「被害者の味方できるの、検事しかいないっしょ」という台詞があって私はそれが好きなんですが
(て言うか検察官が主人公のドラマのタイトルが「HERO」なのマジカッケェ~っすよね)
一方バエルは別に被害者の味方であろうとはしてないと思ってて、かと言って被害者のことをなおざりにして自分のキャリアとか立場のことしか考えていないかと言うとそうでもなく…
バエルを形成するものの中にエデンへの憎しみや復讐心があることは調査ファイルとボイスからも分かるわけですが、エデンに対してバエルは自身が被害者の立場であると捉えていると思ってます。エデンへの感情と検事と言う役割から、「罪を犯した者には正しき罰が下されるべき」という風な思いがあるのではないかと考えまして、そういった処罰感情が検事としてのバエルと被害者を繋ぐものかなというのが私のなかでの現時点の結論です。
いつか公式でバエル検事の描写があると思うんですけど全然違ったらその時はみんなで笑おう。どうしよう捏造証言と捏造証拠でゴリゴリに不正やってたら。それはそれで。
今回はHEROみたいな!という意識があったのでこんな感じに仕上がったんですけど、いつか「検察側の罪人」みたいなバエルが見たいと思ってます。
また木村拓哉かよ。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。